2026年6月24日
「急に右側(左側)のお腹が痛くなった。」
「胃腸炎かと思って受診した。」
このような症状で受診された患者さんが、数日後に実は『帯状疱疹』だったと診断されることがあります。
帯状疱疹というと「赤い発疹」や「水ぶくれ」を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、実際には皮膚症状よりも先に痛みだけが現れることは珍しくありません。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹は、水ぼうそうの原因となるウイルスが体内に潜み、免疫力が低下したときに再活性化して起こる皮膚の病気です。
50歳以上の方で多くみられますが、疲労やストレスが強い時には若い方でも発症することがあります。
初期症状: 「ヒリヒチ」「チクチク」といった神経痛の痛みです。微熱や頭痛を伴うこともあります。
皮疹出現: 体の片側の一部に水膨れを伴う皮疹が出現します。「ジンジン」「ピリピリ」といった強い痛みを伴います。
腹部領域では、腹痛だけで始まることがあります
帯状疱疹は神経に沿って炎症が起こるため、発疹が出る前から痛みを感じます。
特に胸や脇腹、お腹に出る場合は、
・胃が痛い
・右腹部が痛い
・左腹部が痛い
・脇腹が痛い
など、内臓の病気のように感じることがあります。
帯状疱疹による痛みは、脇腹、背中、お腹など体の片側に出ることが特徴です。発疹が出る前は腹痛や肋骨周囲の痛みだけのこともあり、胆石や胃腸炎、虫垂炎などと区別が難しい場合があります。
この時期に受診された方は、エコーやCT検査や血液検査では特に痛みの原因となる異常が見つかりません。
数日後に発疹が出てようやく診断がつく
痛みが始まって2~5日ほどで、赤い発疹や水ぶくれが帯状に現れます。
発疹が出ることで、『今回の痛みは帯状疱疹だったんだ』と診断されます。
当院でも経験しています
当院でも、腹痛を主訴に受診された患者さんが、原因がはっきりとせず、その後に帯状疱疹と判明したケースを経験しています。
腹痛の多くは胃腸や胆のう、大腸などの病気ですが、検査で異常がない場合には帯状疱疹なども鑑別の一つになります。
しかし、帯状疱疹は、早期診断が難しい疾患です。帯状疱疹の病態はウイルスの再活性化であるため、血清抗体価による診断が難しく、皮疹が出てから診断が確定することが多いようです。
早めの治療が大切です
帯状疱疹は発症早期に抗ウイルス薬を開始することで、症状の悪化や帯状疱疹後神経痛のリスクを減らせるとされています。
「片側だけが痛い」「皮膚がピリピリする」「原因が分からない腹痛が続く」といった場合は、発疹が出ていない段階でも受診をおすすめします。
最近、帯状疱疹が増えている?
「最近、帯状疱疹になった」という話を耳にする機会が増えたと感じる方も多いと思います。
実際に帯状疱疹は決して珍しい病気ではなく、日本では80歳までに約3人に1人が発症するといわれています。
近年、帯状疱疹が増えていると考えられるとしては、
・ 高齢化により、免疫力が低下しやすい方が増えていること
・ ストレスや疲労、睡眠不足などで免疫力が一時的に低下する方が多いこと
・ 水ぼうそうが減り、水痘ウイルスに触れる機会が少なくなったことで、免疫刺激の機会減少
・ 帯状疱疹への認知度が高まり、以前より診断される機会が増えていること
などが考えられています。
帯状疱疹はワクチンで予防できる時代になっています
帯状疱疹は誰にでも起こりうる病気ですが、50歳を過ぎると発症リスクが高くなります。
最近では帯状疱疹ワクチンによる予防が可能となっており、発症そのものだけでなく、治療後も長く続くことがある「帯状疱疹後神経痛」の予防効果も期待されています。50歳以上の方や、帯状疱疹が心配な方は、ワクチン接種について主治医に相談してみるとよいでしょう。
当院でも、帯状疱疹のワクチン接種を実施しています。
柏市でも市の助成事業がありますので、柏市のHPをご確認ください。
【任意接種・50~64歳】帯状疱疹予防接種の費用助成を開始 | 柏市
まとめ
腹痛の原因は胃腸の病気だけではありません。
帯状疱疹では皮膚症状より先に腹痛や脇腹の痛みだけが現れることがあります。
当院では、腹痛の原因を幅広く考え、必要に応じてCT検査や血液検査を行いながら診療しています。腹痛が続く場合や原因がはっきりしない場合は、お気軽にご相談ください。
