2026年1月04日
■大腸カメラが癒着で入らなかったら…
がん専門病院や大学病院には、癒着などの理由で大腸カメラが難しかった患者さんが少なからず紹介されることがあります。
以前に私が勤務していたがん専門病院でも、
・癒着が強く、断念した
・痛みが強く途中で中止になった
といった理由で、他院で大腸内視鏡が入らなかった方の検査や治療の紹介依頼をうけることがよくありました。
■CTコロノグラフィーで経過をみていた患者さん
実際に多かったのが、他院で大腸内視鏡が入らず、代わりにCTコロノグラフィーをされていた方にポリープが指摘された、というケースです。
CTコロノグラフィーは、
・大腸全体を非侵襲的に評価できる
・挿入困難な方にも実施できる
という利点がある一方で、ポリープが疑われた場合、診断や治療は内視鏡が必要になります。
そのため、「癒着があるから内視鏡は無理」と言われた患者さんが、内視鏡での再評価・治療目的に紹介されてくることが少なくありませんでした。
■そもそも癒着とは?
癒着とは、過去の手術や炎症などの影響で、腸が本来の位置から固定されたり、曲がりが強くなった状態です。腸の一部が固定されていたり、曲がりが強いことで、内視鏡が進みにくくなるため、「挿入困難」「強い痛み」が起こりやすくなります。
癒着が起こりやすい例には、
・開腹手術の既往
・婦人科手術(子宮・卵巣手術)
・腹部に強い炎症を起こしたことがある
などがあります。
■癒着症例で重要なのは「力」ではなく「経験」
癒着がある方の大腸内視鏡で最も重要なのは、スコープを無理に押さないこと です。無理にスコープを押すと、患者さんは激痛を感じますし、腸が破れる危険性もあります。
具体的なスコープ操作には、
・腸の走行とスコープの状態の読む手の感触
・スコープの進めた際の画面の進み具合
・スコープを引いた際のアングル部の反発度合
・痛みの度合い、痛みの部位
といった経験に基づく微妙な感覚を感じ取ることが重要で、その感覚を踏まえて細かに操作を調整することが検査の成否を左右します。
また、使用するスコープの選択もとても重要で、柔らかいスコープや細いスコープなど患者さんに合わせて最適なものを選ぶことで成功率は大きく変わります。
実際に、癒着のために挿入困難とされていた方であっても、内視鏡で安全に観察し、その場で治療まで行ってきました。
■「入らなかった経験」があっても、再挑戦の価値はあります
「以前、入らなかったから今回も無理だと思う」
そう感じるのは自然なことです。
しかし、
・検査医が変わる
・挿入方法が変わる
・鎮静の使い方が変わる
これだけでも、結果が大きく変わることは珍しくありません。
■癒着があると言われた方も、大腸カメラを
癒着があると言われた方は、
・検査が怖い
・もう無理だと思っている
という理由で、過度に大腸カメラから遠ざかってしまう傾向があります。
しかし、大腸がんは、大腸ポリープ切除による予防や早期発見・早期治療ができるがんです。
だからこそ、経験のある施設での内視鏡評価を知ってほしいと考えています。
もちろん、当院で挿入困難な場合には、より高度な技術や設備のある施設へご紹介いたします。
■まとめ
・他院で大腸内視鏡が入らなかった方を多く診てきた経験があります
・癒着があっても、検査をあきらめる必要はありません
「自分は無理」と思う前に、ぜひ一度ご相談ください。
https://oak-gie-clinic.com/
本記事は、国立がん研究センター東病院や埼玉県立がんセンターなどのがん専門施設で2000件以上の食道がん・胃がん・大腸がんの内視鏡治療、20000件以上のがんの内視鏡検査を担当してきた柏駅東口オーク消化器・内視鏡クリニック院長が執筆しています。
