2026年1月09日
それは、虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)かもしれません。
外来でとてもよく聞く相談のひとつに、こんなものがあります。
「急にお腹が痛くなって、トイレに行ったら下痢して、その後に血が出て…」
「大腸がんじゃないかと不安で眠れませんでした」
今日は、そうした症状の原因のひとつである虚血性腸炎について、
できるだけ分かりやすくお話しします。
内容は American College of Gastroenterology(ACG)のガイドラインの虚血性腸炎に関する記載を参考にしています。
■虚血性腸炎って、どんな病気?
虚血性腸炎は、大腸の血の流れが一時的に悪くなることで起こる病気です。
「血が足りない(=虚血)」状態になると、
腸の粘膜がダメージを受け、
腹痛や下痢、血便が出てしまいます。
✔ がんではありません
✔ 感染症でもありません
✔ 多くの場合、一過性で治る病気です
この点は、まず安心していただきたいところです。
■どんな症状が多いの?
典型的なのは、次のような経過です。
急に お腹がキューっと痛くなる
その後、下痢
ほどなく 鮮血が混じった便 が出る
「昨日まで何ともなかったのに、急に…」
という方がとても多いです。
■なぜ起こるの?
虚血性腸炎は、血管が詰まる病気ではありません。
多くは、以下のような“ちょっとした条件”が重なって起こります。
・脱水(下痢・発汗・水分不足)
・便秘で強くいきんだ
・血圧が下がった
・動脈硬化がある
・年齢を重ねている
特に多いのは 「便秘+脱水」 の組み合わせです。
■検査は必要ですか?
はい、とても大切です。
虚血性腸炎は命に関わることは少ない病気ですが、
症状だけでは 大腸がん・感染性腸炎・炎症性腸疾患 などと区別がつきません。
そのため、
・CT検査
・大腸カメラ(大腸内視鏡検査)
を行い、きちんと診断することが重要です。
大腸カメラでは、
「虚血性腸炎に典型的な所見」を直接確認できます。
ただし、1~2週間以内くらいに検査をしないと、粘膜の治癒が進むので診断がつかないことがあります。
■治療はどうするの?
ほとんどの方は、手術も入院も不要です。
治療の基本は、とてもシンプルです。
・腸を休ませる(食事を一時的に控える)
・点滴や内服で水分を補う
・痛みを和らげる
これだけで、
数日〜1週間ほどで自然に良くなることが多いです。
■抗生物質や手術は必要?
多くの場合、必要ありません。
ただし、
・強い腹痛が続く
・高熱が出る
・お腹を押すと激しく痛む
・全身状態が悪い
こうした場合には、
重症の虚血性腸炎を疑い、
抗生物質や外科治療を検討することがあります。
これは全体の ごく一部 です。
■再発はしますか?
再発する方もいますが、頻回ではありません。
数年から十数年といった感じで、忘れたころにおきます。
再発予防として大切なのは、
・水分をしっかりとる
・便秘を放置しない
・血圧や心臓の病気をきちんと管理する
といった、日常生活のちょっとした工夫です。
■最後に
虚血性腸炎は、
✔ 突然起こって
✔ とても不安になる症状が出る
✔ でも、多くはきちんと治る病気
です。
大切なのは、
「様子を見すぎないこと」 と
「自己判断しないこと」。
血便が出たときは、
「大したことないだろう」と思わず、ぜひお気軽に、柏駅東口オーク消化器・内視鏡クリニックへご相談ください。
柏駅東口オーク消化器内科・内視鏡クリニック|千葉がんサバイバー支援|胃と大腸の内視鏡・CT検査
本記事は、国立がん研究センター東病院や埼玉県立がんセンターなどのがん専門施設で2000件以上の食道がん・胃がん・大腸がん・咽頭がんの内視鏡治療、20000件以上のがんの内視鏡検査を担当してきた柏駅東口オーク消化器・内視鏡クリニック院長が執筆しています。
