
肛門管がん、痔瘻がんなど
お電話・お問い合わせ準備中
WEB予約肛門管がんとは、直腸の最下部にある肛門管と呼ばれる部分に発生する悪性腫瘍です。肛門は消化管の出口として特殊な構造を持ち、皮膚と粘膜の移行部にあたるため、多様な組織からがんが発生します。その代表が「扁平上皮がん」で、肛門周囲の皮膚に近い部位から発生することが多く、進行すると排便困難や出血、しこりなどの症状を引き起こします。
一方、痔ろうがんは、長期間にわたり肛門周囲に痔ろう(肛門と皮膚の間につながる異常な管状構造)が存在していた場合に、ごく稀にその部位ががん化することで生じる腫瘍です。特に、痔ろうの経過が10年以上と長い方や、繰り返し感染や膿の排出を繰り返してきた方に発生のリスクが高いとされています。
初期の肛門がんや痔ろうがんは無症状のこともありますが、進行に伴い次のような症状が現れることがあります。
肛門からの出血(排便時や下着への付着など)
肛門周囲のしこり・腫れ
排便時の痛みや不快感
膿や粘液の排出
肛門のただれ、皮膚の変色
肛門が狭くなったような感覚、便通異常
痔や痔ろうと似た症状が多いため、自己判断で見逃されがちです。特に、症状が長引く場合や、治療に反応しない「しつこい痔ろう」は、専門的な医師による診断が必要です。
肛門がんや痔ろうがんの診断には、視診・触診に加え、以下のような検査が行われます。
肛門の内側を観察し、腫瘍やただれ、出血源を直接確認します。
疑わしい部分の粘膜や病変を採取し、病理検査でがん細胞の有無を確認します。
病変の深さや広がりを評価します。
がんの進行度や、周囲のリンパ節・臓器への転移の有無を確認するために行います。
また、長期間続く痔ろうに対しては、皮膚の病変部も含めた広範囲な診断が重要です。
肛門管がんや痔ろうがんの治療は、がんの種類や大きさ、進行度、患者様の全身状態などを総合的に判断して決定されます。
扁平上皮がんに対しては、近年では手術に代わる治療法として、放射線と抗がん剤の併用療法が標準治療とされています。肛門括約筋を温存できることが多く、QOL(生活の質)の向上にも寄与します。
病変が大きい、放射線治療の効果が不十分な場合には、直腸や肛門を含めた広範囲の切除手術(腹会陰式直腸切断術など)が必要となることもあります。
非常に初期の病変や高齢者で侵襲的治療が難しい方には、症状の緩和を目的とした治療も選択されます。
がんの種類により、治療後の再発や転移の監視も重要で、長期的な経過観察が推奨されます。肛門管がんや痔ろうがんは、発見が遅れると治療が難しくなることがあるため、早期診断がとても大切です。痔や痔ろうと見分けがつきにくいため、長引く症状がある場合や、過去に痔ろうを繰り返してきた方は、一度専門医の診察を受けることをおすすめします。
当院では、消化器・肛門疾患に精通した医師が、最新の検査・治療を通じて的確な診断と適切な治療方針をご提案しています。肛門の症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
TOP