
胆のう・膵臓の病気
お電話・お問い合わせ準備中
WEB予約胆のうや膵臓は、食べ物の消化や代謝を助ける重要な臓器です。これらの臓器に生じる病気は、初期には症状が乏しいことも多く、気づいたときには進行しているケースもあります。健康診断や腹部エコーなどで偶然発見されることも少なくありません。ここでは、代表的な病気についてご紹介します。
胆石は、胆のうの中に胆汁成分が結晶化してできた石で、コレステロールやカルシウムを主成分とするものが多くあります。無症状のまま経過することもありますが、胆のうの動きによって石が胆のう管に詰まると、突然の右上腹部痛や背部痛、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。さらに進行すると胆のう炎や胆管炎、膵炎など重篤な合併症を引き起こすことがあります。腹部超音波検査などで診断され、症状がある場合や合併症のリスクが高い場合は、手術による胆のう摘出が検討されます。
胆のう炎は、胆石や胆泥(胆汁の沈殿物)によって胆のうの出口がふさがれ、胆汁がうっ滞し、細菌感染や炎症を起こした状態です。右上腹部の鋭い痛み、発熱、吐き気、全身倦怠感などの症状が急激に現れます。特に高齢者や糖尿病のある方では重症化しやすく、速やかな診断と治療が重要です。治療は、絶食・点滴・抗生物質投与が基本で、炎症が落ち着いてから胆のう摘出手術を行うこともあります。早期の医療介入が予後を大きく左右します。
胆のうポリープは、胆のう内壁にできる小さな隆起性病変です。ほとんどは良性のコレステロールポリープで、自覚症状もなく、健康診断などで偶然見つかることが多いです。ただし、ポリープが10mm以上の大きさだったり、急速に大きくなる場合、または多発している場合は、がんの可能性が否定できず、定期的な経過観察や胆のう摘出が勧められます。超音波検査で簡便に確認できるため、定期的な検査が大切です。
胆嚢腺筋腫症は、胆のうの壁が肥厚し、小さな嚢胞(のうほう)状の変化を伴う良性疾患です。通常は無症状ですが、胆石を合併したり、胆のう収縮による右上腹部の不快感を訴えることもあります。画像診断(エコー、CT、MRI)で特徴的な所見が得られますが、がんとの鑑別が難しいこともあり、慎重な経過観察が必要です。症状がある場合や悪性が疑われる場合には、胆のう摘出が検討されます。
急性膵炎は、膵臓から分泌される消化酵素が膵臓自体を消化してしまうことによって炎症が起きる病気です。原因は、胆石の逸脱や過度の飲酒が多くを占めます。突然の上腹部から背中にかけての強い痛み、吐き気、嘔吐、発熱が主な症状です。軽症例では絶食と点滴治療で改善しますが、重症化すると膵壊死や多臓器不全をきたすこともあり、集中治療が必要になる場合があります。発症時の早期診断と重症度の評価が非常に重要です。
慢性膵炎は、膵臓に繰り返し炎症が起こり、膵組織が徐々に線維化・硬化していく病気です。主な原因は長期のアルコール摂取で、ほかにも胆石や自己免疫などが関係します。症状は、持続的な腹痛、食後の不快感、体重減少、脂肪便などがあり、膵臓の外分泌・内分泌機能(インスリン分泌など)の低下も進行します。禁酒が治療の最重要ポイントであり、消化酵素補充や糖尿病への対応も必要となります。
膵のう胞は、膵臓にできる液体がたまった袋状の構造物で、良性から悪性までさまざまなタイプがあります。ほとんどは無症状で、検診や他の目的の画像検査で偶然見つかることが多いです。代表的なのう胞性疾患には、漿液性のう胞腺腫や粘液性のう胞腺腫、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)などがあり、悪性化のリスク評価が重要です。定期的な画像検査による経過観察や、リスクが高い場合には外科的切除が検討されます。
膵石は、慢性膵炎の経過中に膵管内に形成される硬い石で、膵液の流れを妨げ、さらなる膵炎や膵臓機能障害を引き起こす原因となります。症状は腹部膨満感、慢性的な上腹部痛、下痢、消化不良、体重減少などです。診断には画像検査(CT、MRI、内視鏡検査)が用いられ、治療は内視鏡的に石を除去する方法のほか、膵液の流れを改善する手術を行うこともあります。生活習慣の改善も不可欠です。
胆のうや膵臓の疾患は、初期には自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行していることも少なくありません。特に、胆石や膵炎などは急激に症状が悪化することがあり、早期発見・早期治療が重要です。また、のう胞やポリープなどの一見良性に見える所見でも、定期的な画像検査や専門的な評価が必要な場合があります。
当院では、胆のう・膵臓領域にも精通した消化器専門医が、的確な診断と丁寧な説明をもとに、それぞれの患者様に適した治療を提供しています。健診で異常を指摘された方や、腹痛・吐き気・体重減少などの症状が気になる方は、お気軽にご相談ください。
TOP