
大腸粘膜下腫瘍(カルチノイド、リンパ管腫など)
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WEB予約大腸粘膜下腫瘍とは、大腸の表面(粘膜)ではなく、その下の層に発生する腫瘍の総称です。通常の大腸ポリープとは異なり、内視鏡検査で腸の内側に「盛り上がった病変(隆起)」として見つかることが多く、粘膜が正常に見えるため、発見が遅れやすい特徴があります。
腫瘍の種類や位置によっては、出血、便通異常、腹痛、腸閉塞などを引き起こすこともありますが、多くは無症状のまま健康診断や人間ドックで偶然発見されます。
粘膜下腫瘍には良性のものも悪性の可能性があるものも含まれ、治療方針や予後が大きく異なります。見た目だけでは判断がつかないため、適切な検査と診断が重要です。
大腸粘膜下腫瘍には、以下のような代表的な病変が含まれます。
腸内に分布する神経内分泌細胞から発生する腫瘍で、比較的稀ながら重要な腫瘍のひとつです。多くは直腸にでき、小さいうちは進行が遅いものの、転移の可能性があるため注意が必要です。
5mm未満の小さな病変であれば内視鏡的切除が可能ですが、サイズや深達度によっては追加切除や外科的手術が必要になることもあります。
リンパ管が異常に拡張して腫瘤を形成する良性腫瘍です。まれではありますが、腸の粘膜下に存在し、症状を伴うことがあります。画像検査では嚢胞状の構造として確認され、確定診断には病理検査が必要です。
腸管の筋層や神経系由来の腫瘍で、良性のものが多いですが、腫瘍が大きくなると腸閉塞や出血をきたすこともあります。こちらも内視鏡的に完全切除できない場合は、外科的手術が検討されます。
大腸粘膜下腫瘍は、通常の内視鏡検査で「隆起性病変」として発見されますが、表面が正常に見えることが多いため、通常の生検(粘膜からの組織採取)では診断が難しいことがあります。そのため、以下のような精密検査が行われます。
病変の深さや性状を把握するために有効で、腫瘍の層構造や血流の有無を観察できます。
腫瘍の大きさや他臓器への広がり、リンパ節や肝臓への転移の有無などを確認するために行われます。
最終的な診断には、組織を詳しく顕微鏡で調べることが必要です。
これらの検査を総合的に評価し、腫瘍の性質やリスクを見極めたうえで、適切な治療方針を決定します。
治療は、腫瘍の種類・大きさ・局在・悪性の可能性などによって異なります。
比較的小さく、良性または低悪性度が疑われる腫瘍には、内視鏡での切除が有効です。特にカルチノイド腫瘍は、5mm以下であれば内視鏡治療で完結することが多いです。
腫瘍が大きい、深部に及んでいる、悪性の可能性がある場合は、腹腔鏡下手術や開腹手術による切除が検討されます。リンパ節郭清(リンパ節の摘出)を併用することもあります。
良性と考えられる小さな腫瘍や、症状のない病変は、定期的な内視鏡検査により経過観察する場合もあります。
治療後は、再発や新たな病変の発生を早期に見つけるため、定期的なフォローアップが推奨されます。
大腸粘膜下腫瘍は、種類によって良性から悪性まで幅広く、診断と治療に高度な専門性が求められる病変です。見た目では判断できないことも多く、適切な検査と慎重な診断が欠かせません。
当院では、消化器内視鏡専門医が精密な検査と病理評価をもとに、患者様一人ひとりに最適な治療をご提案しています。健診などで「粘膜下腫瘍」や「隆起性病変」と指摘された方、あるいは不安を感じている方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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