のどの不快感について

のどに関する症状を主に診察するのは耳鼻科です。ところが、耳鼻科で診てもらった結果、のどに大きな異常が見当たらないにもかかわらず、症状に悩まされているという方は少なくありません。

消化器内科を受診される方々が困っておられるのどの症状は、「のどがつかえる」「物が飲み込みにくい」「のどに何かがずっとあるように感じる」「のどがイガイガする」「のどが沁みる」「のどにすっぱいものが上がる」「のどが締め付けられる」など、様々です。

のどの不快感の原因

症状を起こす原因も実に様々です。内視鏡検査（胃カメラ）で、のどや食道に炎症や腫瘍などの異常が見つかる場合もありますが、見た目の異常が全くなく、粘膜の知覚過敏やアレルギーが原因となっている場合も少なくありません。

のどの違和感・つかえに関連する代表的な病気は以下のようなものです。

咽喉頭酸逆流症

胃酸が食道に、さらにのど（咽頭喉頭）にまで逆流することによって様々な症状が現れます。食後や就寝時に症状が出やすい場合には、酸の逆流が関係している可能性が高くなります。耳鼻科で「逆流性食道炎かもしれない」と言われても、胃カメラで明らかな炎症が見られないことも多く、胃酸を抑える薬の効果で診断することもあります。

咽頭喉頭がん・食道がん

腫瘍によって通過が障害されている場合は、飲み込む際に違和感やつかえ感が出やすくなります。特に飲酒・喫煙習慣がある方は注意が必要です。早期発見のために定期的な内視鏡検査が推奨されます。

咽喉頭異常感症

検査で異常がないのに違和感が続く場合に疑われます。粘膜の知覚過敏が関係しており、ストレスや自律神経の乱れが誘因となります。胃酸抑制薬で改善しない場合には知覚過敏に対する治療が必要です。

好酸球性食道炎

アレルギー反応により食道に炎症が起こる病気で、つかえ感や胸の痛みが現れます。内視鏡で縦方向の溝が見られ、生検で好酸球が多く確認されると診断されます。食事アレルゲンや花粉などが原因となることがあります。

口腔咽頭・食道カンジダ症

カンジダ真菌が異常繁殖することで起こる感染症です。のどの痛みや飲み込みにくさを伴います。免疫低下や抗生物質、ステロイド薬の影響で発症することがあり、内視鏡では白い苔が見られます。

のどの違和感の治療

まずは内視鏡検査（胃カメラ）で原因を見極めることが重要で、それによって治療方針が決まります。

咽喉頭酸逆流症

胃酸を抑える薬を用いるとともに、食後すぐ横にならない、就寝前に食事をしない、脂っこい食事や飲酒を控える、減量を行うなど生活習慣の改善が重要です。

咽頭喉頭がん・食道がん

腫瘍が見つかった場合は、進行度や全身状態に応じて、内視鏡的切除、手術、放射線治療、薬物療法を単独または組み合わせて行います。専門医療機関への紹介も行います。

咽喉頭異常感症

胃酸抑制薬で改善しない場合、知覚過敏に作用する漢方薬（半夏厚朴湯など）が用いられることがあります。

好酸球性食道炎

アレルゲン除去の食事療法や胃酸抑制薬の使用が行われます。必要に応じてステロイド剤や免疫抑制剤を用いることもあります。

口腔咽頭・食道カンジダ症

軽症では自然軽快することもありますが、重症例では免疫低下の原因を精査し、抗真菌剤による治療が行われます。

のどの不快感は早めの受診を

のどの違和感は一見軽い症状のように思えても、逆流や腫瘍、炎症、アレルギーなど様々な病気が隠れていることがあります。長引く症状や原因不明の違和感がある場合は、早めに内科・消化器内科を受診して検査を受けることをおすすめします。